鳥はとても特徴的な動物群で、鳥を見て他の動物とまちがえることも、鳥以外の動物を見て鳥とまちがえることもほとんどないと思います。それは、羽毛やクチバシのような鳥にしかない特徴を数多く備えているからですが、鳥らしい特徴をもつようになった仕組みはほとんどわかっていませんでした。今回、東北大学を拠点のひとつとした国際プロジェクトチームは、48 種の鳥の全ゲノム DNA を他の動物のゲノム(注1)と比較することにより、鳥らしさをもたらしている DNA 配列を探しました。解析の結果、鳥へと進化する過程において、新しいタンパク質を作る配列(または遺伝子(注2))の獲得はほとんどなく、鳥への進化には、むしろ遺伝子の使い方を変えたことが決定的な役割を果たしたことが明らかになりました。鳥が恐竜の一部から進化したことは確実視されていますが、鳥が恐竜から進化するうえで新しい遺伝子の獲得は必ずしも必要なかったのかもしれません。
詳しい内容は、プレスリリースをご参照ください。
本研究成果は、Springer Nature (UK)発行のonline科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』 (Nature Communications) において2月6日午後7時(日本時間)に発表されました。
(サブタイトル内) エンハンサー
遺伝子の使い方を決めるゲノム DNA のひとつ。この配列があることで、遺伝子がいつどこでどれくらいのタンパク質を作り出すかが決められる。
(注1) ゲノム
動物は数万種類のタンパク質を作り出します。ひとつの遺伝子がひとつのタンパク質を作るので、各動物は数万種類の遺伝子をもっていることになります。その数万種類の遺伝子は具体的には特定のDNA配列であり、それらと遺伝子の機能を決める(どこでどれくらいどうやって機能するか)配列とその他の配列の集合体を、ゲノム(ゲノム配列)といいます。
(注2) 遺伝子
ここでは、タンパク質を作り出すもとになるDNA配列を「遺伝子」と呼びます。
東北大学理学部/大学院生命科学研究科
器官形成分野
教授 田村 宏治(たむら こうじ)
TEL:022-795-3489
E-mail:tam[at]m.tohoku.ac.jp
*[at]を@に置き換えてください