天文学専攻 田中雅臣 准教授が第17回（令和2（2020）年度）日本学術振興会賞を受賞しました。

■受賞者：
天文学専攻 田中雅臣 准教授 ［website］

■賞　名：
第17回（令和2（2020）年度）日本学術振興会賞

■研究業績：
「重力波天体からの電磁波放射と宇宙の重元素の起源に関する研究」
(Electromagnetic Emission from Gravitational Wave Sources and the Origin of Heavy Elements in the Universe)

■受賞理由：
宇宙開闢以来、元素が合成されてきたが、金やプラチナ、ウランといった鉄よりも重い元素についてはその起源が明らかになっておらず、宇宙物理学における長年の問題である。
田中雅臣氏は、重力波天体である連星中性子星合体における重元素の合成に着目し、合成されるガリウムからウランまでの全てのr過程元素を含めて、多様な重元素の性質を加味した理論的計算を世界に先駆けて行った。そして中性子星合体において合成された重元素の放射性崩壊による可視光・赤外線領域で輝く「キロノバ」現象の観測的な特徴を理論的に示した。2017年8月に連星中性子星合体を起源とする重力波観測の報を受けて行われた多くの光学追観測で、この田中氏の理論の正しさが見事に裏付けられた。
田中氏の研究は連星中性子星合体が宇宙における鉄よりも重い重元素の起源たりうること、またキロノバが連星中性子星合体と結びついていることを定量的に明らかにした。重力波天体観測の進展に伴い、更なる宇宙物理学・天文学への貢献が期待される。

■授与機関：
日本学術振興会

※ 学年・所属表記は受賞時のものになります。

Posted on：2020年12月25日