東北大学、ソルボンヌ大学、JAXA、東京大学、九州大学、ジョンズホプキンス大学、東京理科大学、東北工業大学、NICTの研究者からなる研究チームは、惑星間塵起源イオンが木星の電離圏電気伝導度に及ぼす影響を評価し、その成果をアメリカ地球物理学会が発行する Journal of Geophysical Research (Space Physics) に発表しました。本論文の研究成果は高く評価され、ハイライト論文に選ばれました。
電離圏の電気伝導度は、惑星の電離圏と磁気圏の電磁気的結合に重要な役割を果たします。木星の電離圏の電気伝導度は、これまで大気中の水素分子や炭化水素分子を起源とするイオンによって担われると考えられてきました。いくつかの観測とモデルから、木星電離圏の下部に惑星間塵を起源とする金属イオンの存在が示唆されてきましたが、電離圏の電気伝導度に対する惑星間塵起源イオンの寄与はこれまで考慮されてきませんでした。
研究チームは、新しく開発した惑星間塵蒸発モデルと電離圏光化学モデルを組み合わせて、木星電離圏の電気伝導度に対する惑星間塵起源イオンの寄与を評価しました。その結果、惑星間塵起源イオンによって木星電離圏の電気伝導度が3-10倍増強されることを見出しました。さらに、この惑星間起源イオンの効果は、太陽系内では重力と磁場強度が最大の木星でのみ現れることを示しました。
ハイライト論文情報 | |
雑誌名: | Journal of Geophysical Research (Space Physics) |
title: | Effect of Meteoric Ions on Ionospheric Conductance at Jupiter |
著者: | Nakamura, Y., Terada, K., Tao, C., Terada, N., Kasaba, Y., Leblanc, F., et al. (2022). |
URL: | https://doi.org/10.1029/2022JA030312 |
Figure . (a, b) Global distributions of calculated Pedersen conductance and Hall conductance for the ionosphere without meteoroid influx and (c, d) those for the ionosphere with meteoroid influx.