お知らせ

ナノ厚の非磁性体が超伝導を抑制する現象を発見 -磁石を用いない次世代超伝導デバイスの基盤技術として期待-

発表のポイント

● 単純な岩塩構造を持つ重い電子系(注1)金属(一酸化セリウム: CeO)と超伝導(注2)体(一酸化ランタン: LaO)の人工積層構造を世界で初めて作製しました。

● 非磁性体であるCeOをわずか数ナノメートル積層するだけで、LaOの超伝導が完全に消失することを発見しました。

● 磁石(強磁性体)を使わずに超伝導を制御できるため、漏れ磁場のない高集積な超伝導量子デバイスやスピントロニクス素子への応用が期待されます。



概要

次世代超伝導量子デバイスでは、超伝導のオンオフを制御できる技術が重要です。東北大学大学院理学研究科の関根幹人 大学院生(現:東北大学金属材料研究所・理学研究科兼担)、福村知昭 教授(同大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)兼務)らの研究グループは、岩塩構造を持つ希土類一酸化物の単結晶薄膜作製技術を活用して、重い電子系である一酸化セリウム(CeO)と超伝導体である一酸化ランタン(LaO)の二層膜を作製しました。

通常、超伝導を壊すためには磁石(強磁性体)の磁気的な性質を利用するのが一般的ですが、本研究では磁石の性質を持たない(非磁性)CeOが、隣接するLaOの超伝導を極めて強力に抑制する「対破壊近接効果(注3)」を持つことを明らかにしました。この発見は、磁気の影響を排除したい微小な超伝導デバイスの制御において、新たな設計指針を与えるものです。

本研究成果は、日本時間2026年7月10日に、学術誌 ACS Nano に掲載されました。



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図1. パルスレーザー堆積法の概略図。紫外(エキシマ)レーザーでLa金属を瞬間的に蒸発させると、微量の酸素を供給することで、単結晶基板の上に岩塩構造LaOの薄膜が形成する。続いてCe金属を蒸発させると、LaOの上にCeOの薄膜が形成し、二層膜ができあがる。



用語説明

注1. 超伝導:金属、合金、化合物などの温度を下げていくと、ある種の物質で電気抵抗がゼロ(ゼロ抵抗)になる現象。超伝導転移温度よりも低い温度で超伝導状態になる。超伝導状態では電子がペア(クーパー対)を組んで電流が流れる。電子が磁場印加や温度上昇等でペアを解消すると、超伝導が壊れる。
注2. 重い電子系:電子同士の強い反発力(電子相関)により、電子の有効的な重さが通常の100倍〜1000倍にもなったかのように振る舞う物質系。
注3. 対破壊近接効果:異なる性質の物質を接合した際、一方の性質が他方に浸み込み、超伝導の原因となる電子対(クーパー対)が壊される現象。



論文情報

タイトル:Fully Suppressed Superconductivity in Nonferromagnetic Heavy Fermion/Superconductor Bilayers: Rocksalt-type CeO/LaO
著者:Mikito Sekine, Masamichi Negishi, Satoshi Sasaki, Hidetatsu Yoshimura, Noriaki Kimura, *Tomoteru Fukumura
*責任著者:
東北大学大学院理学研究科化学専攻・材料科学高等研究所
教授 福村 知昭(ふくむら ともてる)
掲載誌:ACS Nano
DOI:10.1021/acsnano.6c00792



詳細

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問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学大学院理学研究科化学専攻[web]
教授 福村 知昭(ふくむら ともてる)
TEL: 022-795-7716
Email: tomoteru.fukumura.e4[at]tohoku.ac.jp

<報道に関すること>
東北大学大学院理学研究科 広報・アウトリーチ支援室
TEL:022-795-6708
Email:sci-pr[at]mail.sci.tohoku.ac.jp
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