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ブラックホールの「爆風」、30万光年先まで到達 ―想定の100倍超のエネルギーを発見―
発表のポイント
● ブラックホールから噴き出す風が、銀河を超えて約30万光年先までエネルギーを運んでいることを世界で初めて観測しました。
● その威力は従来の推定の100倍以上に達し、これまでの想定を大きく覆す発見でした。
● ブラックホールは物質を吸い込むだけでなく、「爆風」で銀河の外側の広大な宇宙空間に影響を及ぼしていることが明らかになりました。
概要
銀河の中心には超巨大ブラックホールが存在することが知られています。ブラックホールの活動による影響が、どれほどの威力で、どこまで広大な環境に及ぶのかは、銀河とその中心のブラックホールがともに成長する仕組みを理解する上で大変重要な問題であり、宇宙物理学における長年の課題でした。
東北大学、金沢大学、東京都立大学、大阪大学、東京理科大学、立教大学などの研究チームは、日本が主導して開発したX線天文衛星XRISM(クリズム)(注1)を用いて、銀河の集団の中心にある急成長中の超巨大ブラックホールとその周辺の高温ガスに着目し、その運動の精密な測定に成功しました。
その結果、ブラックホールから風のように高速で噴き出す高温ガスが、自身の銀河(半径約3万光年)を大きく超え、約30万光年先にまで広がるガスの運動を激しくかき乱していることを発見しました。その威力は従来の推定の100倍以上に達し、これまで銀河の内部に限られると考えられていた影響が、銀河の外側の広い領域にまで及ぶことが世界で初めて明らかになりました。
本研究成果は、科学誌 Nature Astronomy に2026年7月28日(英国時間)付で掲載されました。
図1. 宇宙における銀河団(銀河の集団)から単一の銀河、その中心に存在する超巨大ブラックホールへと至る階層構造の模式図。ブラックホールは銀河の半径に比べて約1億倍以上も小さいが、銀河の中心で重要な役割を担っている。(クレジット:東北大学)
用語説明
注1. XRISM(クリズム):X線分光撮像衛星XRISM(クリズム、X-Ray Imaging and Spectroscopy Mission)は、2023年に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられたX線天文台。JAXAが主導し、米国航空宇宙局(NASA)、欧州宇宙機関(ESA)と進めている国際共同プロジェクトで、星や銀河、そしてその間を吹き渡る高温ガス(プラズマ)を観測し、それらが作る宇宙の大規模構造の成り立ちや、天体間を行き交う元素とエネルギーの流れなどを、これまでにない詳しさで明らかにすることを目的としている。
論文情報
タイトル:Vigorous turbulence driven by quasar-mode feedback in a cluster core
著者:Satoshi Yamada*, Shutaro Ueda*, Hirofumi Noda*, Yutaka Fujita*, Misaki Mizumoto, Kentaro Nagamine, Claudio Ricci, Shoji Ogawa, Taiki Kawamuro, Shinya Yamada, Yuichi Terashima, Yoshihiro Ueda
*責任著者:東北大学学際科学フロンティア研究所 助教 山田智史
金沢大学理工研究域先端宇宙理工学研究センター 特任准教授 上田周太朗
東北大学大学院理学研究科 准教授 野田博文
東京都立大学大学院理学研究科 教授 藤田裕
掲載誌:Nature Astronomy
DOI:10.1038/s41550-026-02939-x
詳細
問い合わせ先
<研究に関すること>
東北大学大学院理学研究科 天文学専攻[web]
准教授 野田 博文(のだ ひろふみ)
電話:022-795-6535
Email:hirofumi.noda[at]astr.tohoku.ac.jp
<報道に関すること>
東北大学 学際科学フロンティア研究所
企画部広報担当
Email: fris-pr[at]grp.tohoku.ac.jp
*[at]を@に置き換えてください
Posted on:2026年7月29日