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琉球列島・喜界島沖から新属新種の管状有孔虫を発見 マクロイド内部に秘められた新奇な殻結晶構造と海洋生物多様性
発表のポイント
● 鹿児島県喜界島沖の水深75〜97mに分布し、約4,000年前から形成が始まったマクロイド(注1)の内部から、未知の管状有孔虫2属2種を発見しました。
● 糸状の形態を表す日本文化にちなんだ属名と種名からなる学名Shimenawa okuyamae(図)およびYorishiro moriiを提唱しました。
● 既知の有孔虫には見られない独特な殻の結晶構造を解明するため、電子顕微鏡(SEM)とラマン分光分析を用いたところ、前者はランダムに配列した針状結晶からなる殻を、後者は先行研究では報告例のない3層構造の微細な結晶組織からなる殻を持つことを明らかにしました。
● マクロイド内部が豊かな微小生息地(マイクロハビタット)を提供していることを示すことで、中光層(注2)の生態系や地球表層の炭素循環おける役割の理解を深めると期待されます。
概要
東北大学などの国際研究グループは、鹿児島県喜界島沖の水深75〜97mから採取されたマクロイド(主に、被覆性有孔虫からなる礫状の岩塊)内部から、未知の管状有孔虫2属2種を発見し、Shimenawa okuyamae(シメナワ・オクヤマエ)およびYorishiro morii(ヨリシロ・モリイ)と命名しました。電子顕微鏡やラマン分光分析を用いた解析により、両種が従来の有孔虫には見られない特徴的な殻組織を持つことを解明しました。本研究は、海底の中光層における高い生物多様性を裏付けるとともに、過去の海洋環境解明や炭素循環研究の進展に寄与します。
本研究成果は、2026年10月20日に科学誌Progress in Earth and Planetary Scienceに掲載されました。
図. Shimenawa okuyamae(シメナワ・オクヤマエ)の走査電子顕微鏡写真。本種は紐状の形態を呈し、その内部は中空(管状)です。
用語説明
注1. マクロイド:主に、被覆性底生有孔虫(注3)からなる礫状の岩塊。
注2. 中光層:ちゅうこうそう。海洋において太陽の光がわずかに届く、水深約50 mから150〜200 mほどの深度域のこと。
注3. 無節サンゴモ:むせつさんごも。細胞壁に方解石を沈着させ、体を岩石のように堅くする特異な藻類(紅藻)であり、熱帯から寒帯まで、潮間帯から透光帯下限までの広い範囲に分布しています。サンゴ礁ではサンゴに次いで重要な礁形成者であるが、磯焼けを起こす厄介者でもある。
論文情報
タイトル:New Holocene calcified tubular foraminifera in acervulinid macroids from the Kikai Jima shelf, Ryukyu Islands, southwestern Japan
著者:Davide Bassi*, Juan Carlos Braga, Roberto Rettori, Komei Yamagishi, Hideko Takayanagi, Ryuji Asami, Yasufumi Iryu
*責任著者:Davide Bassi
フェラーラ大学・物理学・地球科学部・教授 東北大学大学院理学研究科兼務(非常勤講師)
掲載誌:Progress in Earth and Planetary Science
DOI:10.1186/s40645-026-00852-5
詳細
問い合わせ先
東北大学大学院理学研究科地学専攻[web]
准教授 高栁栄子(たかやなぎ ひでこ)
兼務 東北大学・海洋研究開発機構 変動海洋エコシステム高等研究所 (WPI-AIMEC)
TEL:022-795-6622
Email:hideko.takayanagi.b4[at]tohoku.ac.jp
*[at]を@に置き換えてください
Posted on:2026年10月21日